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『雪風ハ沈マズ』読了

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著者の豊田 穣さんが、海軍出身ということもあり、そして、沈まなかった船ということもあり、取材や日記を中心に、ガチ戦記・史実でとてもよかった。

そもそも、大東亜戦争は敗北であり、そのなかで生き残ったというのは、どういうことなのであろうか。いろいろなエピソードや心構え、態度などがでてくるが、他の船はこうじゃなかったから沈んだなどと言えるのだろうか。

航空機による、爆撃、雷撃の時代に直掩無し、もはや敗北必須とわかっている状況下でなぜ「やる気でんよ」ではなく、戦えるのか、そして、死なないでいられるのか。

「死中に活あり」と言われるが、船や戦闘機が「精神」で活を見いだせる現実などないことがわかっていることなども書かれている。(確か、ゼロ戦乗り坂井三郎さんも「1000馬力のエンジンは1000馬力である。」的なことをおっしゃっていたような)

最近、隆慶一郎さんの「死ぬこととみつけたり」も併読しているせいか、いろいろと考えさせられる内容、かつ、二度とこのような状況(天一号作戦)を作り出してはならない。このあたりは『失敗の本質』を一度読んだほうがいいかもしれない。

正直、私は自分の命をどのように使えばよいのであろうかとふと考えてしまうことがある。天一号作戦のように「命の使い方」を命令されるというのはどういうことなのであろうか。そしてそのなかで生きるということはどういうことなのであろうか。

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